方位磁石の指す方向。
第9章 scene 8
それでもまだ起きないから、
俺の気が済むまでキスしてやった。
つーか…
これだけしてるのに起きないとか、
翔さんどんだけ夢の中楽しいの。
…ちょっと、嫉妬するよ。
夢で誰といるのとか、
どんなことしてるのとか。
それが夢の中の俺でも、
ちょっと嫉妬する。
「ねぇ、翔さん、起きて。」
「……んー、」
寝返りをうった翔さんが
俺の腰に巻き付いて。
…寝顔はほんと、
子供みたい…。
「しょーうーさーんー?
聞こえてますかー?」
「んー…?」
眉を顰めて、
うっすら目を開ける。
「あ、起きた。
翔さん、おはよう。」
「んー…にのみあぁ…」
「んふっ、何寝惚けてんの。
もう5時だよー?」
また体を揺さぶれば、
うーんうーんと唸る。
…ふふ、寝起き悪いんだ。
「しょーうさん。
起きなきゃキスしちゃうぞー?」
「んー……」
それでも尚、俺の腰から離れないから
翔さんの肩を押して、仰向けにさせて。
それにびっくりしたのか、
目を見開いて俺を見つめてる。
「ちょ、二宮っ…?」
「起きない翔さんが悪いー」
「ちょ、まっ……」
ちゅ、と小さくリップ音が響き、
唇が離れた。