方位磁石の指す方向。
第10章 scene 9
毎晩毎晩、
俺は二宮との夢を見る。
…それくらい、
好きなんだろう。
「…はぁ…」
欲求不満。
一言で言えばそれだろう。
…俺だって健全な男子高校生だ。
あんなことやこんなことを
二宮としたいとも思う。
だけど、二宮の同意だって
必要だ。
拒否られたら俺多分折れる。
だから、どう踏み込んだら、
どう歩み寄ればいいか
全くわからないんだ。
「…っ、はぁ、」
夢の中で俺は、
二宮を優しく扱い、
その行為に及んでいる。
…妄想なんかで、満たせるか。
妄想なんかで、
満たせるほど俺は容易くないんだ。
「っぁ、」
情けなく、吐き出した。
荒ぶった息が整うまで
深く呼吸をする。
…もし俺が、二宮とシたいだなんて
言ったら、どんな顔をするだろう…?
何度も考えた。
何度も頭の中で
シュミレーションして犯して…。
最低なことだなんて
わかっていても、
俺は止められなかったんだ。