方位磁石の指す方向。
第10章 scene 9
肩で呼吸して、翔さんを見上げる。
“ん?”と微笑みつつ、俺の頬を撫でる。
擽ったくて、でも気持ちよくて、
思わず目を細めた。
そうしたら翔さんは、
また優しいキスをくれた。
「……二宮、いい?」
「…っ、うん…」
…スるんだ。これから。
そう思ったら、急に恥ずかしくなって、
緊張してきて。
やば…手汗、半端ない……。
目の前で行われる作業を、
ただぼーっと眺めていたら、
「あんま見んなよ、」
って恥ずかしそうに翔さんが
照れ笑いを浮かべていた。
…ふふ。
ゴム付けるところ、手こずってるのも、
慣れてなくて少し挙動不審なのも、すごい好き。
翔さんってもっと、
完璧人間だったのにね。
「翔さん、キス…」
「ん、」
すべて、任せちゃってるから。
もう俺、どうなったっていいからさ。
翔さんでいっぱいにして欲しいんだ。