方位磁石の指す方向。
第11章 scene 10
翌朝の目覚めは、最悪だった。
翔さんに会えるってわかってても、
やっぱり気持ちは複雑なまま。
このままの関係でいいのかな。なんて
俺は何度思ったんだろうか。
…翔さんが幸せなら、
あの行為をしてもいい?
それは俺らしくない考えだ。
嫌いなあの行為。
でも、あの行為をすることによって
俺たちは繋がってる気がしたから。
安易に「やめよう」なんて
言えなかったんだ。
「智、おはよ。
今日はいつもに増して寝癖ひどいね。
あと、顔も。」
「るせぇなぁ〜…」
わしわしっと頭を掻きながら、
階段を降りてく智。
…ふふ、フラフラしてる。
危ないなぁ、なんて思いながらも
微笑ましい光景だった。
目覚めは最悪だけど…
起きちゃえばどってことないもんね。
だって。
俺の大好きな人に会えるんだから。