方位磁石の指す方向。
第11章 scene 10
単純な俺の考え。
間違い、なんてしてない。
「潤くん、おはよう。」
騒がしい教室に入って、声をかけた。
大会が近付いているからか、
ピリピリした雰囲気を纏っていた。
「…あぁ、おはよう。」
寝不足なのかな?とも思った。
朝は元々機嫌悪いし…。
なんて考えてるうちに、
潤くんは席を立ってしまう。
同じサッカー部の友達のところへ
行っちゃったんだ。
…そうだよね。
潤くんは頭もそこそこいいし、
運動神経はずば抜けていいし…。
顔は濃いけどモテる感じの顔だし…。
とにかく、
俺とは正反対なんだ。
───今度は…
今度はいつ、会えるのかな。
机に向かって溜め息。
今度はいつ、翔さんに会えるんだろう。
顔を思い出す度、
じんわりと胸が温かくなる。
俺、本当に翔さんが好きなんだな。
って実感が湧く。