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方位磁石の指す方向。

第11章 scene 10






翔さんのことは大好き。

だけど最近、やっぱりおかしい。

性欲の塊?

んん、よくわかんない。

でも、前より口数少なくなったような…。

あーでも、やっぱり俺は翔さんのことが……


「二宮、」

「っ、ごめん…」


翔さんと一緒に帰ってること、
忘れてた。

どうしよ、なんて話してたのかな…。


「…疲れてる?」


心配そうに立ち止まって
顔を覗き込んでくれる翔さん。

…そんなんじゃないよ。


「ううん、平気だよ。
ごめん。ぼーっとしてただけだから。」

「そう?ならいいけど…
心配だから早く帰ろ。」

「……うん。」


力強く掴まれた手が熱い。


俺を悩ませているのは、全部翔さん。

逆のこと言えば、

俺を喜ばせてくれるのは、全部翔さん。


「……翔さん。」

「ん?」


あの行為をやめたいって言ったら、
翔さんはなんて言うんだろう。
どんな顔するんだろう。


「…なんでもない。」


やっぱり、聞けない。

俺達の関係が体だけじゃないって
わかっていても、信頼していても、

どうしても、聞けない。

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