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方位磁石の指す方向。

第12章 scene 11

櫻井side



やってしまった。

自分自身が幼稚で嫌になる。


あんなこと言いたかったわけじゃないし、
あんな顔させたいわけでもない。


…雨、まだ降ってる…。

二宮は、大丈夫かな。


この期に及んで、
まだアイツのことを考える。

どんだけ俺は振り回していたんだろう。

自己中で優柔不断で、
周りを見れなくて。


自分に対する劣等感だけが募る。

バカだな、なんて、
自分のことを鼻で笑ってみる。


…そんなの、効果あるわけない。


傷付けない、だなんて
安っぽい約束をいくつもして、

結局は、傷付けて、傷付けて、
終いには泣かせて、振り回して。


こんな関係を、望んでいたわけじゃないのに。

どんどん、拗れていく。


違う、違う────違う違う違う違う。


俺の求めていたものは、
これじゃない。

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