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方位磁石の指す方向。

第12章 scene 11






嫌われたかと思った。

あれだけ振り回して、
これだけ嫌な思いをさせたのに。


「翔さぁん…」


まだ、甘えた声を出して
俺のことを見てくれるんだ。


「…好き、好きだよ…」


俺だって

お前のことが好きで好きで
堪らないんだ。


俺の気持ちが、零れそうだ。



…あぁ、

もう、我慢出来ない……



「っわ、」


二宮の首筋に顔を埋めて、
思いきり抱き締めた。


「…悲しい思いさせて、ごめんな。

お前が俺以外のヤツといると
イライラするし、嫌だし…
それが例え、智くんでも、雅紀でも、
潤でも嫌だ…」


それくらい、
お前のことが好きだから。


「俺の我儘で、いっぱい傷付けてごめん…」

「そんな、こと、」

「あるんだよ…ごめんな」


二宮を見つめ、
そっと唇に触れた。

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