
方位磁石の指す方向。
第12章 scene 11
大事なのは自分。
だなんていつも思ってた。
翔さんと出会う前は、いつも。
でも、翔さんと出会ってからは違う。
大事なのは、自分…の、気持ち。
自分の気持ちに正直にならなくちゃ、
相手は応えてくれない。
だって、本当にそうだったんだよ。
翔さんが、鈍感だから余計にかもだけど。
「…二宮?」
「…なーに?」
「顔上げてくんねぇ?
お前の顔見たいんだけど。」
たまに出る、“お前”って呼び方。
超好き。
きゅんきゅんする。
「…ふふ、翔さん大好き。」
だから俺は、翔さんの正直な気持ちに
精一杯応えてあげるんだ。
好き、大好き。
ずっと一緒にいたい。
ずっとずっと、隣で笑いたい。
「…ぁ、」
くいっと顎を掴まれて、
上を向かされた。
…この顔、好き。
ちょっと余裕のなさそうで、
でも、少し大人っぽい顔。
俺がひとりで浸かってたら
もう何度目かわからないキスをされた。
「……ん、」
