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方位磁石の指す方向。

第12章 scene 11




「なーに、照れてんの?」

ちょっとおちょくれば、
すぐに、

「んなわけないでしょっ、バカ!
ほんとデリカシーないっ!」

って、顔を紅潮させて言うもんだから。

もっと、構いたくなる。


「…ふふ、寂しかった?」

「そんなわけない。」

「俺は寂しかった。」

「嘘だ。」

「嘘じゃないよ。」

「……バカ。」


顔を紅潮させたまま、
そっと俺を見上げた。

上目遣い気味で、瞳は水分を含み、
ゆらゆらと揺れていた。

耳まで真っ赤になる姿が、
愛おしくて。


「…ふたりのときは、
和也って呼んでいい?」


そっと、赤い耳に近付いて囁いた。


「っ………ぅんっ」


嬉しそうに笑ってから、


「ふたりのときだけじゃなくても、
…いいし……」

なんて、可愛くない発言。


「…じゃあ、
ずっと呼んであげようか…?

…和也、って。」


ぴく、と二宮の体が動いて、
恥ずかしそうにこちらを見上げる。


「しょ、さ……」

「…もう、可愛すぎ。」


無理矢理、唇を塞ぐ。

熱くて、蕩けそうなキス。

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