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方位磁石の指す方向。

第12章 scene 11

二宮side


愛してる。なんて、
何度言い合ったんだろう。

もう、聞き飽きた。

…でも、言って欲しい。


なんて、少し我儘すぎるかな。



背中合わせで寝ていて、
不意に聞きたくなった言葉。


「…ねぇ、」


もう、寝ちゃったかな。

男ふたり、狭いシングルベッド。

この暑い季節に、ふたりで。


「……起きてる?」


もう、寝ちゃったのか。

もっとたくさん話したかったな…なんて
残念がってるけど、翔さんと話そうと思うと
素直に話せないんだ。


「…バーカ。」


俺がこんなにも、
大胆になることなんてないよ。

そっと翔さんの背中に
自分の体を密着させてみた。


「…好き、好きだよ…。…好き。」


何度言っても、言い足りないの。

もっと、言いたいの。

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