方位磁石の指す方向。
第13章 scene 12
二宮side
翔さんの笑った顔が好き。
嬉しそうな顔が好き。
俺のことを知って欲しいから、
些細なことでも分かち合いたい。
小テストの点数とか、
空が綺麗とか、
翔さんとお昼ご飯…とか。
そんなささやかなことでいい。
そういうちょっとしたことでも、
笑顔で聞いてくれる翔さんが好き。
俺のことを大事にしてくれてるって
本当にわかるから。
「…あ、今日の放課後、
どこで待ち合わせる?」
「んー、玄関混むから、
俺が迎えにいくよ。」
「…ほんと?」
ちょっと嬉しくなる。
迎えに来てくれるんだ。
…んふふ。
「なーにニヤケてんだよ。」
「んふふ、何でもないよ。」
ただ、嬉しかっただけ。
それだけなのに、
こんなに胸があったかくなるのは
きっと翔さんだけだよ。