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方位磁石の指す方向。

第13章 scene 12


二宮side


…俺、最低だ。


繋がれた手を見つめて、
バレないように溜め息を吐いた。

潤くんや相川の期待を裏切ってしまった
罪悪感と後ろめたさとか、
今の心理状態とか。

そんなのを忘れさせてくれるのは
翔さんしかいないから…。

この辛さとか、寂しさとかを
埋めてくれるのは翔さんしかいないから…。
だから…。


───────俺、最低だ。


「…二宮?どうかした?」

「っあ、ううん!
何でもないよ、ごめんね。」


空と、翔さんの顔が映る。

爽やかな風が通り抜けて、
髪を揺らされた。


…あぁ、ダメだ。


「…ごっごめんなさいっ…!」

「っえ?あ、おいっ、二宮!?」


パッと離してしまった手。

ここには、いられない。

罪悪感に苛まれて、
居ても立ってもいられなくなった。

…ごめん、なさい…。

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