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方位磁石の指す方向。

第14章 scene 13




せっかくのお祭り。
翔さんと初めてのお祭り。

未だに高鳴ったままの胸。
まだ震えてる指先。


「…あ、」

「うん?」

「あんまり神社の方とか行ったら、
カップルいっぱいいるかな。」


人があんまりいないとこがいいよね。
なんて、俺のことを気にかけて
くれているのかな。


「…俺は、平気だよ。」


翔さんといれれば、
どこだっていいから。


今日はいつもより暗いし、
このままどこかに消えちゃいたい。

二人だけで。


「二宮、」

「和也でしょ」


すぐ忘れるんだから。


キスしたいなーとか、
ぎゅってしたいなーとか。
俺はたくさん思ってるのにさ。


「…和也」

「うん。」

「…キスしたい。」

「……うん、俺も。」


…わかってるなら、
早く言ってくれればよかったのに。

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