
方位磁石の指す方向。
第14章 scene 13
どくん、
と胸が脈打つ。
俺から目を逸らそうとしない二宮。
だから俺も、逸らせない。
「すきだよ…」
また、甘い声で言われて、
もう、頭がおかしくなりそうだ。
「…俺も、好きだ。」
余裕なんてなくて、
ただひらすらに愛おしい。
きゅうっと胸が締め付けられて、
今は目の前にいる二宮から目が離せない。
潤んだ瞳に、子供みたいな白い肌、
長い睫毛、ほんのり色付いた唇。
生唾を飲み込んで、
二宮を力いっぱい抱き締めた。
「っ、翔さ、」
「好きだ、俺は和也が好きだっ…」
心配になったら、寂しくなったら、
いつでも、何回でも、言うから。
俺はその度、二宮が好きだって
伝えるから。
だから…
「泣かないでくれよ…。」
俺の好きな二宮を、
泣かせたくなんてないんだ。
