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方位磁石の指す方向。

第15章 scene 14


二宮side


ふわふわ、とろとろ。

そんな感覚。

夢の中で俺と翔さんは、
見つめ合っている。

恥ずかしくなって
俺から目を逸らすんだけど、
すぐにまた見つめ合うんだ。

付き合いたての初々しいカップルみたいに、
お互いの存在にドキドキしてる。


「和也」

そう呼ぶ声が、
段々大きくなって。

「和也?」

耳元でダイレクトに響いて…





「ぅん?」

「お、起きたな、おはよう二宮」

「…ん、おはよー」


間延びした声。

言ったあとすぐに恥ずかしくなって
目を逸らしてしまった。


「かーずなり」


ふふ、と楽しそうな声が聞こえて
俺をバカにしてるんだと勘違い。


「…なに」


ぶっきらぼうな返事をすれば、
ちょっと困ったような顔をしてから

「そんな顔するなよ」

と、悲しそうな声で言われた。


そんな顔、って、どんな顔だよ。

わかんないし。


「…和也」

「…ん、なに」

「なぁ、続きする?」

「……」


続き、ってのは
さっきのことだよね。

でも俺、もうシちゃったんだもん。
ひとりだけど。


「…やめる?」


和也が嫌ならいいけど、
って言ってる割には、
未練ありそうな顔つきと口調だ。

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