方位磁石の指す方向。
第15章 scene 14
二宮side
ゴム越しに伝わる翔さんの熱を感じて、
意識を離しかけた。
…っそうだ。
「ごめ、翔さん…」
「……ん?」
「俺もう、電車が…」
「…あぁ」
怠そうに体を持ち上げて、
翔さんがゆっくり離れていく。
「っぁん、」
「っば、エロい声出すなっ」
「だ、だって…急に、するから…」
まともに翔さんの顔なんて
見ていられない。
「…シャワー、いいよ」
「……わかんないよ」
「あ?」
「場所、わかんないから、一緒に…」
「……ばか」
一緒に入りたいって、
言うのは引かれると思ったから。
でも、逆みたいで。
「一緒に入る?」
「…っ!うん!」
俺の気持ち、全部汲み取っちゃうんだ。
やっぱりこの人に恋してよかった。