方位磁石の指す方向。
第16章 scene 15
「ゃだっ、これ、ぁっ」
「やだ?」
「…っ、や、じゃ、ない…」
再び押し倒されて、
翔さんが胸の突起を執拗に弄る。
動いてくれないから、
与えられる快感が少なすぎて、
イきたくてもイけない。
だけど…
動いて、なんて自分から言えるわけない。
「…かずなり」
「っ!」
「腰、動いてる、よ」
翔さんの長い長い指が、
俺の腰をなぞった。
「〜っ…!」
声にならないほどの快感が、
一気に押し寄せた。
「かわい…」
低く、掠れた声で呟いてから、
俺の頬を撫でた。
翔さんは俺の左肩に顔を埋めて、
強く抱き合ったままだ。
その間も与えられる刺激に
耐えられない俺は、
言葉にならない言葉を吐く。
触れている肌は、
微かに翔さんの方が高い。
その体温が、心地よかった。
ぼうっと足の先は痺れ、
感覚麻痺してしまっているみたいだ。
「あ、ぁ、」
翔さんの額から落ちた汗が、
俺の頬に落ちた。
それから、唇の隙間に入り込んだ。
びっくりするくらい、
しょっぱかった。