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方位磁石の指す方向。

第3章 scene 3

櫻井side



……好きな人と
付き合えるって、
…幸せなことだったんだ。
俺、全然わかんなかったな。

…二宮のあの真剣な眼差し。
俺の腿にのって、ぎゅっと
抱き付いてきたときのいい匂い。


…やっぱりちょっと、
女の子みたいで。

でも、女の子とは違う


だって、男だもんな。



おかしいかもしれないけど、
二宮は男で俺も男で。

普通のカップルからみたら、
世間からみたら、
批判の的でしかないけど。


好きになったという事実は
もう変えることなんてできない。

仕方ないじゃん。


批判されたって別にいい。

それも覚悟の上だ。


…だから…俺は二宮を
絶対に守るんだ。


「…翔さん?」

「ん?」

「ねぇ、翔さん。


…俺のこと、好き?」


首をかくんっと傾けて
俺に微笑みかける。



…う、

なんだこの、可愛い生物。


「…好きだよ。
二宮が好きだ。
誰よりも好きだ。」

「…うん。」


ふわって優しく笑う。

可愛いなあって見惚れてたら
昼休みの終わりを告げる
鐘が鳴った。


「…あ、俺次移動教室だ。
二宮、先行くな。」

「うんっ」


頭にぽんっと触れると、
ふわふわで、指が沈んだ。

…こんなの初めて触れた。


「なにニヤけてんの。
もー!」


ニヤけるに決まってるじゃないか。

好きな子に触れて、
嬉しくないわけがない。

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