方位磁石の指す方向。
第3章 scene 3
浮かれ気分で
教室に向かった。
…幸せって
こういうことなのかなって。
「翔ちゃん、
なんか嬉しそうだね。」
って、智くんにも雅紀にも
言われた。
「…ふふ、そうかな?」
「うん、翔ちゃん
ちょー幸せそうっ!」
「なんかあったの~?」
二人ともニコニコして
聞いてくるから
一連の流れを説明した。
「ほーっ!
和くんと!?
えー、意外だねえ」
智くんもニヤニヤし始めた。
雅紀も意外とか言ってるけど
ニヤニヤしている。
「ほっほら!
次移動教室!
早くいこ!」
「んふふ、翔ちゃんが
照れてる~」
「智くんうっさい!」
頬が熱くなるのがわかって
余計に恥ずかしくて。
…でも。
これが恋ってことなんだ。
「…はい、ではやってみましょう。」
先生の長い説明が終わって
実験が始まる。
「翔ちゃん、
話聞いてた?
俺なんも聞いてねえや」
「おばかっ!」
雅紀がぺしっと頭をはたく。
「…覚えてるよ。
ほら、やろ?」
大体三人でしか
行動しない。
でも、雅紀は結構友達多いし、
俺はサッカーでの友達もいる。
智くんは美術部の友達って
あんまりいないみたいだ。
「おおお!
すげえ!青から赤になった!!」
「ちょ、智くん、静かに。」
「ええっ、考えらんねえ!」
「ほら、ノートにとる!」
…ほんと、変わんないな。
智くんはいつでも
智くんなんだ。
俺が変わっても、
きっとそのまま。
そんな自然体の智くんだから
好きになったんだろう。
…好きだった、か。