テキストサイズ

方位磁石の指す方向。

第3章 scene 3

櫻井side



「しょーうちゃん、帰ろー!」


松本と玄関で待ってたら、
雅紀と智くんが来た。


…松本とは、
案外話が合う。

……二宮とだって
仲がいいんだ。


俺も仲良くしなきゃ。


「あ、潤くんも一緒?
帰り道一緒だよねー?

あ、あと!これ!
エプロンありがとう!」

「あぁ、それ、松本の
だったんだ。

雅紀にしては大人っぽいと
思ってたんだよね。」

「んなっ!
一言余計だよ!」

「いえ!先輩になら
いつでも貸しますよ!」


…へぇ。

いいヤツじゃん。


二宮が松本のことを
話すわけがわかった。

嫉妬してたんだ。
松本に。


いつも二宮は、
俺と話すときに、

「潤くんたちとね、」

「今日潤くんが。」

っていう。


…怖かったんだ。

二宮が離れていくと
思ったから。

でも、そんなことはない。


嫉妬なんて、醜いよな。


「じゃあな、智くん。」

「ばいばーいっ」

「おーちゃんまたねー!」


…ここからは、
雅紀と二人だ。

雅紀はいつもより
話さない。


「なぁ、雅紀…」

「ん」

「あーー、やっぱなんでもない。
じゃあな。」

「?…うん!またね!」


雅紀はいつものタバコ屋を
曲がって帰った。

…俺、まだ二宮とのこと
言わなくても…平気、だよな?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ