方位磁石の指す方向。
第3章 scene 3
もうバレてるかな。
結構二宮の話になると、
俺は食いつくし、
最近二宮の話を
しょっちゅうするから。
智くんは二宮から
じっくり聞くだろうし…
多分、バレる。
「…あ、」
そういや、連絡先。
結局、
あまり使ってなかった。
学校で会えるからって
俺は勝手に満足してたんだ。
二宮はそれじゃ、
満足できないのか…?
いやいやいや。
でも。
話すのが、
恥ずかしい。
通話って、あんまり
好きじゃない。
そりゃあ、雅紀とかなら
全然普通にできるけど。
相手は恋人だ。
そんなにすぐ
「今何してる?」とか
「大好きだよ。」なんて
言えるはずないじゃないか。
…通話は、もう少し経ってから。
今は、メッセージだけで
なんとか乗り切ろう。
『二宮、起きてるか?』
結局、メッセージを
送ったのは、十一時頃。
いつもなら、
寝る準備やら明日の準備やらを
始めているこの時間。
緊張してたら、
すぐに既読がついて。
『起きてるよ|ω・`)ジッ』
って、可愛い顔文字と
一緒に送られてきた。
…なんだこれ、
可愛い。
とか思ってる間に、
もう、どんどん進む会話。
気付けば、
十一時半。
「やべっ…」
明日は朝、集まりが
あるから、絶対に
遅れられない。
『二宮、おやすみ。』
それだけ送信して、
布団に潜り込んだ。