方位磁石の指す方向。
第5章 scene 5
「ひゃー、すっかり
暗くなっちゃったねえ…
サッカーもバスケも…
キツイんだね笑笑」
「まあ、なぁ。」
潤とは帰る方向が
違うからいつも雅紀と二人きりだ。
…正直、
気まずい気持ちだって
まだあるけど。
それにも大分慣れた。
「あ、そーいや、翔ちゃん。
大会どーすんの?
和くん呼ぶのぉ~?」
「は?」
ニヤニヤと笑いながら
聞いてきた雅紀。
…そりゃ、
来てくれたら嬉しいけど…
でも、都合ってもんが
あるだろうし。
「…わかんねえ。」
「えっ!?なにそれ!
代わりに俺が行ってあげよーか?」
「いい。」
「即答するなんてひどいっ泣」
「笑笑」
雅紀はいじけたフリして
俺と距離を置いて歩く。
ほんの数歩だけ。
「っあ、そういえば。」
なにか思い出したように
雅紀が声をあげた。
「…和くん、
寂しそうだったなぁ。」
「えっ?」
「ほら、今日購買いくとき。
和くんいたじゃーん!
それでさ!
翔ちゃんに声をかけようとしたら
翔ちゃんが俺に話しかけてきてさ?
すげー寂しそうな顔してたよ?
ほんっと、翔ちゃんったら
罪な男だねぇ~♪」
…すげえ楽しそうに
言ってるけど、
俺としたら大問題だ。
そんなの、
全然気付かなかった。