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方位磁石の指す方向。

第5章 scene 5






『翔さん、』

「…あ、」


画面に表示された
その文字に心躍る。


『やっぱり会いたい。』

『こんな夜中にダメだっつーの。』

『…むぅ(・ε・)』


変な顔文字がついてる文章を
送ってきた二宮。


『それに、…危ないし。
にのみ、和也が可愛いから
絶対ダメだ。』

『…アホ。』


画面越しなのに
二宮が照れているのがわかる。

…本当に可愛い。


『寝る。』


5分後くらいに
送られてきたメール。

…あぁ、もうこんな時間か。

俺も寝ないと。

『おやすみ。』


それだけ打って、
二宮との会話を中断した。


「…はぁ、」


画面が熱くなり始めた
携帯を見つめ、
溜め息をついた。


俺だって会いたい。
でもそんなことできない。

同じ学校なのに、
別棟だから会えない。

会うとしたら、
購買か渡り廊下くらいだ。


「…寝るか。」


もぞもぞと
布団の中に潜り込み、
ゆっくりと瞳を閉じた。

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