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　龍弥さんの地方への出張に同行する事になった。

　アタシと龍弥さんの仲は、今のところＡＤ部の皆さんにも秘密にしてある。龍弥さんは既に離婚しているし、人に言えない関係ではないのだけれど。部長としての龍弥さんの立場を考えたら、今は未だ内緒にしておいた方がいいだろうと。だから、二人の関係を知っているのは、龍弥さんの元・奥さんの頼子さんだけ。それで充分だと思う。

　今、アタシは仕事帰りに、この前のデートで買い損ねたスーツを買う為に、会社の近くにある頼子さんのお店を訪れている。

　「珠子ちゃん、それじゃあ、試着室で着替えてみる？」

　幾つか選んでくれた頼子さんが、そう言ってニヤリと笑う。その笑顔に、以前、山岡さんと頼子さんに試着室でエッチな事をされた記憶が蘇り、アタシの背筋がゾクッとした。

　「いえ……結構です……」

　「いやあねぇ。そんなに怯えないでよ！ 今日は他のスタッフも居るし何もしないわよ？」

　そう言って頼子さんは、店内に居るスタッフさんをチラッと見る。今日は珍しく、お客さんも何人か来店中だった。