天気予報の恋人
第10章 chapter 10
まるで、汚いものでも見るような
冷たい視線
全身で俺を拒否しているのが、嫌でも伝わってくる
早く目の前から消えて
…言われなくてもそう言いたいのは分かった
だから
「…ごめんなさい」
それだけを言って、俺は階段を駆け上がった
まーくんが待ってるのは知ってたけど、こんな顔は見られたくなくて
階段上にあるトイレに向かった
空いている個室に身を滑らせて、鍵を閉める
1人になれたと思った途端、涙が溢れだした
何を期待してたんだろう
あの人達は、もう俺の存在すら疎んじてるじゃないか
そんなの、分かってるはずなのに
何で、声なんか掛けたんだ
自分が、惨めになるだけじゃないか
それなのに
親を憎みきれない自分がいて
余計に頭を混乱させる
「…っく…ひっく…」
唇を噛み締めて、無理矢理涙を止めた
早く行かないと、まーくんが心配する
誰もいないのを確認して個室を出ると、手洗い場所で顔を洗った
ポケットに突っ込んだぐしゃぐしゃのハンカチで
ゴシゴシと顔を拭く
それから、ようやく改札口に向かった