天気予報の恋人
第10章 chapter 10
ご飯の最中も、先生は何も触れてはなかった
泣き腫らした目なんて一目で分かるのに、いつも通りにしてくれていて
…多分まーくんが、何か言ってあるんだとは思うけど
先生はそう言う雰囲気を察するのは凄いから
敢えて俺も何も言わなかった
いや、言ったらまた泣きそうで…言えなかった
だからと言って無言になるわけでもなく、先生がうまく話を振ったり
笑えるような事を言ってくれて
食べられないかと思ったご飯も、ちゃんと食べる事が出来た
食べていても「食べない食べない」って言われるから、余計に心配させちゃうから
心の中でホッとしていた
「和也、明日は行くの?」
先生がお茶を飲みながら、こっちを見た
「んーん…明日はない、バイトもない」
同じように麦茶を飲んで答える
「じゃあ、明日お願いしていい?」
「え?」
先生がお茶を置いて、にっこり笑った
「明日、智と潤が出掛けたいんだって
雅紀に車出させるから、一緒に行ってやって?」
「え、俺聞いてない」
「今言った、…お前には拒否権ないし」
「ひでぇ…」