天気予報の恋人
第11章 chapter 11
翔ちゃんは、仕事があるからと
一番奥の部屋に閉じ籠もっている
多分、当分出てくる事はない
「おいで…」
俺はかずの手を引いて、自分の部屋にゆっくりと歩いていった
昔みたいに一緒に眠るだけ
ただ、安心させるように
守るように「ハグ」するだけだ
そう自分に言い聞かせて、かずの手を引く
握った手がみるみる熱くなるけど
気付かないフリを…するしかなかった
「まーくんの部屋、ゆっくり見るのはじめてだ」
部屋に入ると、かずがきょろきょろと中を見回した
「珍しいもんなんか置いてないよ?」
その様子に思わず笑ってしまう
居候だから、必要最低限のものしか置いてないし
…何も、物珍しいものはないんだけど
「だって…何かつい、見たくなる」
「ふふ…好きなだけ、見な」
俺はデスクチェアーに座って、そんなかずをただ何となく眺めていた
「あ…これ…」
机の周りを見てたかずが、目を留めたのは
あの時の、写真だった