天気予報の恋人
第1章 chapter 1
その日の夜
やっぱりかなり緊張したんだろう
かずはお風呂から上がると
まだ21時前なのに、すぐにベッドに入った
ベッドの端っこで小さく、丸くなっている姿が
何だか悲しく見える
はだけた布団をかけ直してから
俺はかずを起こさないように
そっと部屋を出た
向かったのは
1階のリビング横の談話室。
「翔ちゃん、いる?」
「おう」
書類を見ている翔ちゃんの前に座った途端
「和也くんの事だろ」
翔ちゃんは顔を上げて微笑んだ。
書類上は
引っ越して、転校した学校での苛めから
心を閉ざしたとなっているけど
「…本当の原因は、両親だよ」
翔ちゃんの言葉は
何となく予想はついていた
「もしかしたら、これが終わった後も…」
…関わる事になるかも知れない
その言葉の意味と、重みに
俺は何も言葉を返す事が出来なかった。
1時間位話して、俺は部屋に戻る事にした。
「翔ちゃん…俺、大丈夫かな」
「雅紀なら、大丈夫」
翔ちゃんがニカッと笑って親指を立てる。
俺はそれに頷いて、談話室を後にした。