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天気予報の恋人

第13章 chapter 13


舗装もまともにされていないガタガタ道を登り
両側を覆う木が開けた時、その建物が姿を見せた


懐かしい場所

来たくもなかったはずが、来たら大好きになった場所

まーくんと、初めて一緒に過ごした場所


「懐かしいなぁ…こんなに小さかったっけ?」
車を降りた潤くんが、キョロキョロと見回している

その横でリーダーが
「お前がでかくなったんだよ」なんて言って
目を細めていた


俺は、車を降りた後も
その外観に対する記憶がそこまで残っていない事に気が付いて
感動が思ったよりも湧いてこなかった

覚えているのは

いつもまーくんが傍にいてくれた事
優しくしてくれた事
ご飯を食べないって心配されてた事

リーダーの歌が上手かった事
そして
…川に、落ちた事


「色んな事、あったね」

まーくんが、俺の背中に手を回した
暖かくて、安心する

ふと見ると、潤くんもリーダーとあちこち見て回っていた

リーダーがニコニコしながらこっちに来る


「今日は、ここに泊まるぞ!」

予想外の、言葉だった

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