天気予報の恋人
第14章 chapter 14
コンコン、とノックの音が響いた
思わずビクッとすると、まーくんが笑って俺をベッドに座らせて
「はーい」
ゆっくりと、ドアの方に歩いて行った
「荷物置いたら行くぞ!」
ドア越しのリーダーの声
「え?」
まーくんが聞き返した時、ドアが開いて
「釣りのリベンジ」
リーダーがにんまりとした顔を覗かせた
「釣り?」
「さすがにもう川に落ちる事はないだろうし…それに」
"トラウマにしたくないんだよ"
そう言ったリーダーの目が、真剣だったのは
ベッドに座っていた俺でも分かった
「かず…」
まーくんが振り返る
「行くよ、俺は平気」
リーダーの気持ちに、答えたかった
…だから、笑って見せた
"下で待ってるから"
リーダーがドアを閉めた後、まーくんが俺の隣に座って
「大丈夫…?」
俺の顔を心配そうに見つめた
…本当はあれ以来、川が怖くて
近付く事も、していない
行くような状況もなかったから、忘れかけていた記憶が甦ってきた