天気予報の恋人
第15章 chapter 15
小さな子供がするように、繋いだ手を大きく振って歩くかずが
あの頃のかずと一瞬重なってみえた
「かず?」
「なぁに?」
「歌でも歌う?」
かずが、楽しそうに笑った
「まーくん歌えるの?」
「失礼だぞ、それ」
俺も、わざと幼いフリをして見せる
今は、カッコつける必要はないんだから
「…いいよ、歌お?」
かずが小首を傾げて俺を見上げた
手を繋いだまま、誰でも知ってるような童謡を歌いながら歩き出す
初めて聞いたかずの歌声は
話す声よりも少し高くて、心地好さを感じさせる声だった
もっと聞いていたい
そんな気持ちにさせてくれる響きを持っていた
何曲か歌ってたら
「喉乾いた」
かずが喉を抑える仕草をした
確かにずっと声を出してたから、俺の喉も乾きを訴えている
「戻ろっか」
俺がかずの手を少し強く握ったら
「え…」
かずがいきなり俺に抱きついてきた