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エロース …ときめき探求物語

第10章 感情入れちゃダメっ!!

満は
配送センターの屋上で
タバコに火を付けた

スーハー
―――………旨い

満は
咲との結婚の際に
最後まで反対をしていた
咲の父が大のタバコ嫌いだったので
咲との結婚を認めてもらうために
タバコをやめていたのだが……

なれない大阪暮らしのなかで
ついつい
タバコを吸い始めていた。

――まあ大阪だし
咲にもバレないし
まあいいか…。

満は
単身赴任してから
いい意味では肩の力を抜いた生活…
悪い意味ではどんどん堕落した
ダメ旦那へと転落していってることに
いまだ自覚症状を覚えていない。


その時
満の耳に


『………もうママを困らせないで……』

『健太も男の子なんだから、しっかりしてよ!!』

『ママ、元気のために働いてるんだから…』

『………うん。わかってる………なるべく早く帰るからね。ごめんね………。』


屋上の片隅から
ケータイで電話する女性の声…


満は何気なく声の方向に
視線を送ると

…………!!

その声の主と
視線が合った。


『あ!! 所長。申し訳ありません!! ……さっきから何回も息子が電話をかけてきたもので…… 勤務中なのに申し訳ありませんでした。』

心から申し訳なさげに
ペコペコと頭を下げる彼女の胸の名札には

潮富貴子【シオ フキコ】と書かれてあった。

満は
『いえいえ大丈夫ですか?子供さんどうかしたんですか?』
と富貴子を安心させるように
つとめて優しく尋ねた。

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