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エロース …ときめき探求物語

第2章 重さからの逃避…

するとその時…。

―――よかったなぁ!!

えっ?

確かに声が聞こえた…。

―――よかったなぁ!!お前の好みの女…。まさか部下のかなにいたなんてな。

―――フフフッ…笑えるくらい偶然だよな?

えっ?誰かいるのか……?

満はゾクゾクとした。

俺は怖い話とか小さい頃から苦手だったし
お化け屋敷だって
咲のほうが怖がりながらも
俺より楽しんでいたくらいだ……

満は部屋のなかを見回した。

―――安心しな。
俺は幽霊とかそんな類いじゃないぜ!!

そんな声が満の身体を包むように
漂ったかと思うと
満の周囲に紫色の煙が漂い始め
煙の向こうから
真っ黒いクマのぬいぐるみが登場してきた!!

『クロちゃん? クロちゃんだよね!!』

クロちゃんとは
満が小さい頃に肌身離さず
だっこしていた小熊のぬいぐるみだ。
父子家庭で育った満にとり
物心つく前に逝った母親の手作りの
ぬいぐるみだった…。
満が小さい頃に唯一
亡き母の匂いと温もりを感じることができたのが
クロちゃんだった…

―――いやいやクロちゃんじゃないし俺…。

そう
熊のぬいぐるみは満に語りかけたあと
自己紹介を始めた。

―――俺は、情欲の神【パトス】だ!!

『えっ?神?』

―――そうだ!!俺を呼び寄せるには宇宙でイチバンに『重いんだよ~!!』と家庭生活にくたびれた人間の叫びが必要なんだ。
お前…宇宙イチに家庭から逃げ出したいと思っている男なんだよ。 ……ププッ!!笑えるし―――!!

そうパトスなる
クロちゃんそっくりの神様は
満に語りかけた。

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