君がいるから~Sweet Life~
第8章 f
それに今
智と離れるなんて考えられない
…考えたくもない
会社の噂ってのは、回るのが早くて
俺が何も言わなくても、あっという間にその話はフロア内に広がっていた
もちろん二宮の耳にもそれは入っている
久しぶりの一緒の外回りの日
昼食を食べ終わった時に、二宮から切り出してきた
「櫻井さん…あの噂、マジですか?」
心配そう、と言うか不安気な感じで俺の顔を見る
「ああ…マジよマジ」
あんまり深刻にしたくなくて、軽く答えたら
「…受けるんですよね
出世、絡んでるし」
…そんな顔するなよ
捨てられた子犬みたいな目ぇされたら、何も言えなくなるじゃないか
「いや、…まだ迷ってる」
二宮に嘘吐いても仕方ない
「…大野さん、の事ですよね」
さすが二宮
すぐに迷ってる理由当てやがった
「そうだよ、…今、アイツと離れたくない」
「大野さんには?」
「…まだ言ってない。もういい加減言わないといけないんだけどさ」
…思わずため息が出てしまった