君がいるから~Sweet Life~
第8章 f
「いいよ、…とりあえずさ、ご飯にしよ?」
「あ、うん」
言われるままに着替えて、二人で遅めの夕食を取った
ビールを進められたけど
大事な話だからと断って、智の淹れてくれたコーヒーを前に
向き合って座った
「あのさ、智」
「うん」
「俺、転勤を妥協された」
「え……」
驚きで、目が丸くなる
「でさ、俺受けようと思ってる」
「そっか…」
そう呟いて、俯いてしまった
「それでね、智
…俺の気持ち、正直に話すから聞いてくれる?」
智の手を取って握りしめると
ゆっくりと智は顔を上げた
落ち着かせるように深呼吸をひとつ
「俺は智と一緒にいたい。…付いてきて欲しいと思ってる」
自分の本当の気持ち
「翔ちゃん…」
「でもね、それを無理強いはしたくないし、智が決めた答えを俺は受け止める
…ただね、どういう答えでも絶対変わらない事はあるよ」
握った手に、少し力を込めた
「智と別れるつもりは全くないから、そこは安心して」