君がいるから~Sweet Life~
第9章 3×e
結局、シミュレーションしたのは何だったんだってくらい
分量一つまともに計れない俺に焦れて、二宮が手際良く次々に下ごしらえをしてくれた
「…二宮の手作り料理になった」
自分が出来ないのを棚に上げる俺を二宮が笑う
「最後、仕上げを櫻井さんがすればいいんです!」
「いっそ最後までやってくれ」
半ば投げやりな態度
だって俺が仕上げをすると言う事は、間違いなく綺麗には完成しないのが目に見えている
「そこは愛があれば」
なんて、二宮らしくない台詞に思わず吹き出して
「分かりました」
俺は素直に従う事にした
智への愛なら、有り余る程ある
それに、あいつなら
どんなに不恰好でも、喜んでくれる
「じゃあ、やりましょ」
「よし!やるかっ」
クスクス笑いながら、俺は二宮の指導のもと
料理の続きに専念した
雅紀がケーキを買って戻ってから、テーブルに次々に並べられる品々
大人の雰囲気にするつもりが、何故か雅紀と二宮が部屋に飾り付けを始めていて
夕方には、リビングはまるで変わった様相になっていた