君がいるから~Sweet Life~
第6章 L
ガタン、と大きな音を立てて椅子が倒れた
無理矢理智の腕を掴んで立たせた弾みだったけど
思いの外派手な音に、智の目が見開かれる
「ちょっ…翔ちゃん?」
その目には、さっきまでのおふざけはなく
少し怯えを含んでいる
「…来いよ」
自分でも、ちょっと「お?」と思った位の低い声が紡がれた
「しょ…翔ちゃん?」
怯えた智の腕を掴んだまま、引きずるようにリビングから連れ出すと
「おわ…っ」
足が縺れて、智がつんのめってしまった
必然的に、前を行く俺にもたれ掛かる体勢になるから
咄嗟に智の体を抱き止めた
アルコールの入っている体は、少し熱くて
…それだけで誘われてるようで
「しょ…っ」
智を抱き止めたまま
片方の手で顎を掴み、上を向かせると
…そのまま智の唇を自分のそれで塞いだ