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恋しちゃ……ダメなのに

第2章 仮初の幸せ

「奏でちゃんの事は妹のように可愛いと思ってる。けど……」

「待って透、ここからは私が言う。言わなきゃダメなの。後ちょっとだけ席を外してくれる?」

「分かった」
徹さんは頷くと店の外に出ていった。

「奏でちゃん。あなたには多分酷な事を言うと思う」

「な、何ですか?」

「透は奏でちゃんの事を妹のようにしか思えない」

「は、はい」

「透は、私と付き合ってるの」

「え?」

「だからね、奏でちゃん。透のことをもう好きにならないで。奏でちゃんが透の事を好きになればなるほど透は傷つくの。私も呪いなんて嘘でしょとか思ってたけど日に日に透が傷ついてるのを見て助けたいと思った。傷ついても、透は奏でちゃんはもっと心が傷んでたんだ、俺のは時間で治るけど、心の傷は治りにくい。見た目だけでも奏でちゃんに元気な姿を見せてれば、呪いなんて無かったと奏でちゃんが思って、これも止まるかもしれない。だから俺は奏でちゃんの為に会うんだよ。って笑いながら言ったの」


「……透さん」

「そんな姿を見てたらなんとかしてあげたいと思ったの。
奏でちゃんごめんね。透の事を諦めて」

「少し……時間をください。私は」

「奏でちゃん、時間は無いの」

「え?」

「私と透ね、あの図書館から違う所に移るの。明日から」

「う……そ」

「ごめんね、奏でちゃん。このままいれば透もいずれ死んじゃうし。それを知った奏でちゃんはもっと悲しむ。私を恨んでくれていいから」

「桜……さん」

私は、透さんと桜さんの話を聞いて素直に思ったことを話そうと思う。

「桜さん、そんなことを聞いたら嫌いに慣れないですよ。少し気持ちに整理が必要ですが、多分大丈夫です。私は桜さんと透さんに救われたので」

「奏でちゃん」

「桜さんと透さん。お人好し過ぎなんです。2人とも幸せになってください」

「奏でちゃん!!ごめんね、ごめんね」

私は桜さんに抱きしめられた。
喫茶店に行った時と同じ匂いがした。

その日私は失恋した
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