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キミまでの距離

第6章 独占欲

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飲み会はお開きになって。

じゃーねー、って、みんなと別れて二人での帰り道。

雅紀がおかしい。

お店出る前に元気がなくなって喋らなくなった。
うん、そーだねー、とかの相槌はかろうじて打ってたけど。

「ね。雅紀?」

「んー?」

「お泊まりしていいの?」

「いーよ。」

いーよ、って言ってるけど。
心ここに在らず。
いつもだったら、当たり前じゃん!、って喜びを表現するとこだもん。

……

「どうした?」

「え?」

「急に元気なくなったから。」

「……。」

「なに考えてるの?」

「ごめん。くだらないヤキモチ。和を誰にも触らせたくないって…。独占欲すげぇ。俺、カッコ悪いね。」

へらって頼りない笑顔で俯きながら歩く。

俺のせいだ。
俺がしっかりしてれば。
この人を悲しませなくて済んだのに。

どうしたら元気になる?
こんな元気のないのはじめてだ。

「雅紀。ごめん。俺がもっとしっかりしてれば。上手に避けるのも出来たらいいのに。うまく出来なくて。」

「和は悪くないよ。」

そう言って頭をクシャっと触ってくれた。
それだけで嬉しい。

でも元気を出してほしいよ。
あの笑顔も見せてほしい。

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