テキストサイズ

season

第5章 キミノイチバンニ

「あ。間違えた。」



「1番とかじゃないや。
だって1番だと2番がいるみたいじゃない。」

「え?」

「2番とかいない。
にのは1番とかじゃなくて、特別。
…別格。」

……


泣いちゃった。


そうだよね。
泣くよね。
でも寂しさの森からは出てきたはず。

「泣くなよ。」

そっと抱き寄せて涙を拭う。
くちびるで優しく。

その唇をにののに重ねる。
触れるだけ何度も。

1度だけ、ぎゅっと強く抱きしめて。

それから肩を優しく撫でて、腰をそっと引き寄せて、首筋に少し鼻をつけて、にのを抱き留める。

壊れないように。

いとおしい気持ちが伝わるように。

「にの。
だから俺のそばから離れないでね。」

「…それは俺のセリフ。」

にのが俺の背中に腕を廻してくれた。

確かなものなんてないけど。

漠然とした自信は、ずっとあるんだ。

きっと俺の思いは変わることはない。

たぶん、にのも。

でしょ?

だから不安にならなくていいんだよ?

願いを込めて、にのにもう1度そっと口づけた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ