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第17章 名前なんてないけれど



俺について得意げに語るにのとか。

俺のことはにのが1番わかってるって俺が思ってるところとか。

お互い様といえばこれもそう。

お互いが1番の理解者で1番近い存在ってこと。

お仕事で忙しくしてることはありがたい。

それで交友関係が広がるのも致し方ない。

みんなが言いたかったのは、そういうことで。

あいつのうざいくらいの知ったかぶりや、なんだかんだそれを嬉しく思ってる自分。

そういうのがあって、そういうの全部ひっくるめての俺たち。

それがなくなったり、遠慮したりなんて、大人になったからとか、今の忙しい環境とかを言い訳にしてる時点で俺たちらしくないんだ。

メンバーはそのあたり察知してたんだろうか。

俺は違和感ありまくりだけどあいつはどう思ってんだ?

しょうがない、

こんなもん、

って感じに割り切ってるのか?

楽しそうに、幸せそうにしてるなら、そっと見ていてあげたいけど。

お前の幸せを壊す気なんてないんだから。

それに誰かを怒らせたりましてや揉めるなんて望まない。

平和主義だからね。

でもその笑ってんだか、笑ってないんだか、なんだか曇った顔を晴らすのは俺だって。

うぬぼれでいいよ。

俺は特別なんだって。

なんなら弱音なんてはかないお前が泣きごとのひとつでもこぼせるくらい、ふざけたフリで抱きしめよう。

俺が誰と仲良くしてようが、にのの特別とはわけが違うって、お前はわかっていると思うけど、もっと実感してみて。

わかった、わかった、

っていうくらい、わからせてあげよう。



*****



俺が再確認することになった。

にのが特別だって。

さっき、有無を言わさず、みんなでの仕事終わり、俺はにのを連れ去った。

みんな笑ってたし呆れてた。

でも俺たちがわーわー、ぎゃーぎゃーもたれてるの、うれしそうに見てたよ。

お前も見たでしょ。

なんならお前が1番うれしそうに笑ってたよな。

久しぶりにバカみたいに笑ってるにの見て俺もうれしくて。

うれしいのってうつるね。

心のすみっこにお前がいるのは当たり前だったけど、やっぱりすぐにぎゅっとできるのはいいね。

ふたりのうれしさとかさみしさとかひとつになっていく。

全部ひっくるめて包むように。

俺がにのを特別だって思い知らしてくれてありがとう。

これからは遠慮しないから。

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