ラブリー
第1章 いとしいひと
タクシーを降りて携帯をみても既読されていないことに、それなりに気になってくる。
下からインターホンを押しても応答しない。
電話もしてみたけど出ないし。
合鍵を取り出して中へ入る。
部屋も合鍵で開けて声をかける。
「にのー?」
……
一体どうしたっていうんだよ。
「ねー!どこー?」
大きい声を出して靴を脱いでリビングへ。
電気は普通に点いてるのに、にのの姿はない。
「にのー?」
寝室や浴室、トイレも覗いたけど、どこにもいない。
なんかいたたまれなくなってきて急激に不安になる。
にのがいない。
いなくなっちゃった。