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ラブリー

第3章 la vie en rose



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もう…



びっくりし過ぎで言葉が出ない。



あれからどうやってにのに近づこうかと思ってたけど、なかなか行動に移せないまま時間だけが過ぎて。

時々、東京へ戻ってきてはギュウギュウに詰め込まれたスケジュールに、にのを捕まえることは困難だった。

それに帰って来たらゆっくり休んで欲しいとも思ったから。

…なんて全部、言い訳だ。

俺はビビってただけ。


にのに気持ちを確認するのが。


自分の想いを伝えるのが。



そうこうしてるうちに無事、にののドラマはクランクアップして、いつもの日常が戻ってきた。


そんな矢先のこと。


信じられない話を聞いた。

にのがハリウッド映画のオーディションに合格したというのだ。

どこまで俺を置いていってしまうんだよ。

いたたまれなさに、心細さに、胸が張り裂けそう。

北の大地どころじゃない!

ハリウッドって?

アメリカだと?

遥か海の向こうじゃん。





にのが遠くに行ってしまう。



気持ちが追いつかないよ。

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