ラブリー
第3章 la vie en rose
転がってる缶ビールとペットボトルを掴んでテーブルに置いた相葉くん。
後ろ姿を目で追う俺に小さな声。
「か、帰る、」
「へ?」
なんで?
なんでだよ!
呆然とする俺をチラリと見てから歩みを進める。
慌てて立ち上がって玄関に向かった相葉くんを追いかけた。
「帰るって…
来たばっかじゃん。」
やっとそれだけ言って思わず相葉くんの腕を掴んだ。
「ごめん、
ごめん、もう、
キャパオーバー…」
は?
俺はもう気持ちが抑えられなくて相葉くんの腕を掴んだ手に力を込めた。
「好き…」
「…」
言った…
言ったよ、俺。
ピクリと動く腕。
ああ、もう、なんか言って。
半身、玄関を向いてる相葉くんをやっぱりチラチラ見るしかできない。
相葉くんを掴んでいる俺の手に重ねられた手。
ん?
ふわ
抱きしめられてすっぽり包まれてる。
うわ。
ドキドキする。
でも、すごくすごく幸せな気分になって、ドキドキしてるのに安らぎも感じて。
下ろしている両腕を動かして抱きしめ返したいのに。
最初のふんわり感はなくなって馬鹿力で抱きしめられて、棒のように立ちすくむだけ。