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ラブリー

第3章 la vie en rose



「ごめん。

先に言わせちゃって。」

俺の髪に息がかかる。

そこに顔をくっつけたまま喋る相葉くん。

「好きだよ。

…にののことが好き。」


泣けてくる。


あなたからその言葉を聞けるなんて。


ぎゅうぎゅうの腕の中。

もがいてもがいて、やっと動かせる腕を背中にまわした。

「…相葉くんが好き。」

俺もちゃんと伝える。

見上げた先の泣き出しそうな顔に俺も泣きそうだよ。


唇に吸い寄せられる。


自然と求めるようにお互い近づいて。

後少しのところで目を閉じた。



何秒かの後、そっと目を開けるとゆっくりと目を開ける相葉くんと視線が絡まる。

「初めて目を閉じてキスしたね。」

「ほんと。

…でも…

やっぱり…

キャパオーバーだよ。」

そう言って相葉くんはもう一度ぎゅっと抱きしめて体から離れた。



「えーーーーーっ!」



大きな声を出した俺を見て、苦笑いをしながら、

「ごめんって!

また今度!」

同じように大きい声で謝って、バタバタと出て行った。


嘘だろ。


本当に帰ったよ。



しばらくそこから動けなかった。

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