ラブリー
第3章 la vie en rose
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帰ってきてしまった…
だってさぁ、
マジでキャパオーバーだったんだよ。
惜しい気がしなくもないけど、とドキドキする気持ちのまま帰る道で思い返していた。
にのにキスする。
にのに気持ちを伝える。
やるべきことをふたつとも達成した上ににのの気持ちを聞けて。
にやにやも止まらないよ。
俺からのキスにビックリしてたな、って冷蔵庫の前で固まってペットボトルがゴロゴロ転がったのを思い出して声を出して笑ってしまう。
「ははっ。」
可愛かったな、にの。
腕の中ですっぽり包み込まれて直立不動でさ。
帰るって言ったら悲しそうな目しちゃってさ。
…
勢いで押しかけて、いきなり帰って。
改めて考えると俺ってひどくない?
申し訳なさに慌てて携帯を手にメールを送る。
《にの、ごめん。
帰ってごめんね。》
そのまま歩いてるけど一向に返事は帰ってこない。
怒ってるのかな。
《自分からキスして好きだと言う目標達成してしまって。
今日はこれで満足。
これ以上は無理。
…すきだよ、にの。》
するとすぐにきた返信。
《バカ。
すきだ、バカ。》
キュン
キュンキュン鳴ってるよ、俺の胸。
もう一度、好きだってメールを送って携帯をポケットにしまった。