ラブリー
第3章 la vie en rose
そんな割とビビり入ってるくせに揺るぎないにのへの想いを抱いたまま。
珍しく早く帰宅してゆっくりと家で過ごしている時。
携帯にメールが届いて覗くとにのからで。
《仕事終わった?》
《終わったよ。もう家。》
にのも終わったのかな。
もしかしたらちょっとだけでも会えないかな。
明日の仕事は遅くからなんだよね。
にののスケジュールはどうだろ。
ちゃんとチェックしてればよかった、なんて考えてたら。
《今から行ってもいい?》
嬉しくて携帯を持つ手がプルプル。
《いいよ!待ってる!》
すぐに返信して目に入る雑誌や服を片付けた。
インターホンが鳴って待ち焦がれた恋人が現れた。
恋人…だよね?俺たち。
仕事中や、仕事帰りの車や店じゃなく、この二人っきりの、しかも俺のテリトリーって空間。
にのを閉じ込めたい。
俺の腕の中に。
切羽詰まった感情が溢れ出して思わずガバッとにのを抱きしめた。
「わ!」
「にの!」
にのの匂いを思いっきり吸い込んでから口にあたったうなじや首筋に唇を這わせた。