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ラブリー

第4章 la vie en rose 2



にのと何度となくメールのやり取りをした。

短いのばっかだけど。


《おはよ》

《おやすみ》

って定番のやつから。


《こっちはみんな元気だよ》

《今日は撮影早く終わった》

って近況報告も。


……


すべて契約の世界。

にのは行ったっきり帰ってこれない。

時差もあるし。

タイミングもわからないし電話はしにくくてもっぱらメール。

あいつがどんな場所でどんな生活をしてるのか。

想像してみては空虚感に苛まれた。

それでも。

つぎはぎの言葉でも。


にのが遠い異国の地で頑張ってるのは十分伝わる。

事務所から教えてもらったり。

メディアで知ることも。

どんな些細なことでも有り難かった。

それはもどかしい毎日だった。



夜遅くにベランダに出て空を眺めてた時にあいつの顔を思い浮かべた。

俺のそばには当たり前のように、リーダーや翔ちゃん、松潤がいる。

会おうと思えばいつでも会える家族や友達。


にのは今ひとりぼっちだ。


そりゃ日本からのスタッフや俳優仲間もいるけど。

日本を離れてハリウッドという大きい世界で。

ひとり戦ってるんだ。

自分の中の大きな寂しさから、にののことを思いやれていないような気がして胸が痛んだ。

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