ラブリー
第4章 la vie en rose 2
《にの…
元気?
今日電話してもいい?
何時なら大丈夫か教えて。》
こんなメールいつもはしない。
でも今は気にしないよ。
このまま勢いに任せることにした。
気遣いや遠慮みたいなのはこの際置いとこう。
にのを心配する気持ちも励ましたい思いもあるけど、なにより俺がにのと話したかった。
にのの声が聞きたかったんだ。
しばらくすると震えた携帯。
メールだと思って手にすると目に飛び込んできた着信の表示にびっくりして急いで電話に出た。
「相葉くん?今、大丈夫?」
「うん!にのも大丈夫?」
「うん、大丈夫。
どうした?なんかあった?」
はるか彼方…異国の地からと思えないほど近くに感じる。
耳に届く聞き慣れた声。
機器越しであるそれはかえっていつもの通話そのもの。
すぐそばにいる感覚になる。
でも違う。
近くにはいないんだ。
そう思うと悲しみも寂しさも押し寄せてきて言葉に詰まる。
「相葉くん?」
心配そうに俺を呼ぶ声。
だめだめ。
心配させてどうすんだ。
「元気?」
やっとの思いで放った言葉は、なんともありふれたそれだった。